大脳生理学とトレード ~ドル円展望(2012.2.17~)

「MITのアンドリュー・ローが2002年に、プロの為替トレーダーとデリバティブトレーダーのトレーディング中の脳を調べた。
経験の少ないトレーダーは、マーケットで起こった相場の反転などの多くの出来事にいちいち反応したが、経験の長いトレーダーは、はるかに少ない回数しか反応しなかった。
「経験は人の反応を冷静にさせる」ということは脳の中でもそうなっている。

人は特定のパターンに慣れてしまうと、そのパターンから外れたことが起きるとびっくりする。
この「びっくりしている」場所も、脳のかなり狭い場所に特定されることがわかってきた。
この驚きの反応は、利益と損失で非対称である。

例えば、利益が減少すると驚きを表すニューロンの38%が活性化するが、逆に増加した場合には13%しか活性化しない。
指標等で、予想より良い場合のプラスの反応よりも、悪い場合の下落のほうが3倍大きいのは、このサプライズ・ニューロンの性質のせいだと言っている。」

「行動ファイナンスで読み解く投資の科学」東洋経済

北国では何でもない20cmの積雪で、関東では交通、都市機能が麻痺したり、転んで歩けないように、経験によって、行動が変わるのは当然として、
『利益と損失では、ニューロンの活性化率が相反する』というに学説は、多くのトレーダーが損少利大のトレードを繰り返すことを望みながらも、利益が出ている時は平穏なのに、逆に含み損になると途端にパニックになってしまう人間の脳(心理)が説明されています。

 

「自分だけは勝てると思う、自信過剰バイアス。
確率五分のギャンブルを繰り返した場合、人間は勝っている記憶だけ残って、負けている時の記憶は忘れる。」

「ギャンブラーの数学―運をうまく使いこなすにはどうしたらよいか?」日本評論社

 

「人は何も無いところにパターンを発見しやすいというのは簡単な実験でわかる。
○と×がランダムに並んでいるようには見えず、○が連続で並んでいたりするところが多すぎるように見えるが、実際には、前後のマークとは関係なく1/2の確率で○と×が出るように乱数で作成してデタラメな表である。

人は、スポーツやギャンブルで5連勝したり5連敗したりすると、そこに何か重大な理由があるように思いたくなる傾向にあるが、普通に起こるのだ。」

小生はこの意見には懐疑派で、数学的には大数の法則により、どんなに偏ったようにみえる結果も、試行回数を繰り返せば平均値に近づくから、ランダムな結果にパターンを見出そうとする行為は愚だと言われます。
しかし、数学者、物理学者、魔術師(!)であった、シェロラモ・カルダーノのように、現代も、ギャンブル(賭博)にはまる数学者や、数学の教師は多いように、この法則が通用するのは、そのゲームに「作為性が無い場合」に限られます。

コイン投げの裏表を予測するのであれば、そのコインに全くの狂いの無いという大前提のもとでしか成り立たない。
しかし、実際のギャンブルでは、無作為性の中に秩序だったパターンを持ち込まないために、誰かが意図的に無作為に見せるためのルールを持ち込んでいると考えるべきだろう。

「金融危機は、ヘッジファンドによるギャンブリングによるものだ。」

「ギャンブラーの数学―運をうまく使いこなすにはどうしたらよいか?」日本評論社

 

今は、脳トレのゲームや、茂木健一郎ら脳科学者がテレビに登場してきたことにより、脳科学に関する話題や書籍はたくさん出ていますが、脳に関する研究はまだ数%しか解明されていないといいます。

大脳生理学から見て一番の謎は「意識(魂)」と言われています。
人間の行動は脳がコントロールする。しかし、「意識」は脳の中には存在しない。
このパラドックス。

「臓器移植を受けた人に対する調査研究の結果、移植された臓器70例に生前の記憶が残存する現象を発見した。
たとえば、ある女児は臓器移植を受けた後、突然流暢な外国語を話せるようになった。
別の女児は、若い音楽創作者の心肺を受けた後、突然ギターを弾くことに夢中になり、詩を書き、作曲を始めた。」

のような例は数多くあります。
「人の記憶と性格は、移植された臓器とともに、他人の身体に転移するのでは」というこのような事例は、現代生命科学の常識ではいまだ、解明されていません。

「人間の行動は脳が決定する。しかし、人間の意識、魂は脳には存在しない。」
哲学的で面白い問題です。

トレードとは直接関係無い与太話でしたが、トレードにおいて行動心理学、プロスペクト理論は重要であるように、思考的近親相姦から革新的なアイデアは生まれないと考えています。

小生がウェヴを生業として、早17年近く経ちました。
当時のウェヴは、過去の歴史に存在しない全く新しい業種であるゆえに、異分野から参入してウェヴの世界に入った者が全て、全員が独学で、だからこそ様々な分野の人間の革新的な発想、アイデアが、ウェヴの黎明的を支えていたように思います。

しかし、ここ数10年といえば、すでにウェヴクリエイター、ウェヴデザイナーという職種が確立しているので、学生時代から、ウェヴだけを勉強して仕事にする若者が多いため、プログラム、アイデア、デザイン全てに特化した一部の凄い人間が登場する一方、大半は「学校で習ったことができる」というだけの、画一的な人が多いようにも感じます。

異分野、異業種の経験は人間の思想、知識のバックボーンを為し、それが将来、点と点を繋ぐ線になると思っているので、
今の若者の、「人生短いから無駄なことは極力しない。」「答えなど、情報社会の現在、すぐ手にできるから、独学で思考錯誤する行為は無駄だ。」というホリエモン的な合理的な考えをよく思わない小生はジジィなのだろう。

 されど、時代は変わる。

「The Times They Are a- Changing」ボブ・ディラン

小生が初めてMacintoshを購入したのは20年前に遡りますが、当時Mac使いは「哲学的な変人」というのが定説でした。
テクノ好きも「哲学的な変人」というのが定説なので、Macを使ってテクノを作曲していた小生は、まさに変人中の変人扱いです。

しかし、現在は、Appleを選択しない人間のほうが変人である。
あえて、iPhone、iPad、iPodを選択しない人間にその理由を何度も問うのだが、その答えは一様に、

「マニュアルが無く、自分で使い方を考えながら覚えなければならないのが面倒」というもの。
ルールを与えられないと行動をできないのは、管理教育の賜物か。

小生が昔、「Mac使いは変人」といわれたように、今こそ言おう。
「Appleをあえて選択しない人間は愚か」だと。

 

さて、ドル円展望は先週から変わらず、中期では100円割れまで。

ただし、101.50円は日足の雲下限でもあり、61.8%リトレースメントでもあるので、リバウンド必至だと書いた通りの動き。
短期では、逆ペナントのような下降拡大型トライアングルによるリバウンドに注意しながら、先週と変わらず、ターゲットは、
101.57円

 

ドル円日足
1d

ドル円4時間足
4h

 

ただし、全てがうまくいくことなど無いさ
Doesn’t Make It All Right

本日のBGM

Stiff Little Fingers – Doesn’t Make It All Right